農地での殺そ剤使用方法について、ご紹介いたします
ソ穴投入法
粒剤はソ穴1ヶ所当り所定量をそのまま、或いは紙に包み、小袋分包品はソ穴1ヶ所当り1包投入します。
(ソ穴… ネズミの生息する穴)
薬剤の効果的なまき方(ソ穴投入法時)
下図のようにまず、薬剤をまく前日にあいている穴を全部ふさぎ、防除当日再び開いた穴に薬剤を投入すると、効率良く使用できます。
点状配置法
畑地や果樹園・畦畔等でソ穴のはっきりしない場合、所定薬量の粒剤または分包品を一定間隔に配置します。
ソ穴投入法ほどネズミとの遭遇率が高くないので、防水加工した耐水性のある薬剤を使用してください。
ベイトボックス(餌場)法
枯れ草等で餌場を作る方法で、前二法に比べ省力で殺そ剤を長期間効果的に利用できます。
効果持続のため防水加工された薬剤が必要です。
圃場内に一定の間隔でワラ等を敷き、薬剤をのせ、その上に稲ワラや枯れ草をかぶせ、更にベイトボックス全体をビニールで覆うようにします。
ベイトボックス以外の場所の枯れ草等を整理すると更に効果的です。
水田の場合は畦畔に15~20m間隔、畑地や果樹園等は周辺部を中心に15~20m間隔を目安に配置します。
ベイトボックスにネズミが集中するよう圃場の整備が必要です。
豪雪地域では雪の重みに耐えうる物で作る工夫が必要です。
施設園芸の場合
イチゴハウス等施設園芸の場合は収穫物等に被害が出てからでは防除が難しいので、栽培を始める前の対策が重要です。
施設の周辺から侵入してくる場合も多いので周辺防除も行ってください。
※周辺防除の必要性から圃場の周辺に休耕地等があれば、必ずそこも含めた防除を実施してください。
積雪地帯での殺そ剤の使用方法及び配置
積雪地帯の果樹園や越冬作物等の圃場における被害は、一般に積雪期間の雪の下で起こります。特に雑草や下草、刈り取り後の枯れ草の始末が不十分な場合や、積雪期間が長かった場合などに被害が大きくなりがちです。
被害発生の理由
- ・周辺に生息していたネズミが積雪後に圃場内に侵入し、被害を起こす。
- ・雪と地表との間のわずかな隙間に枯れ草等が残り、食・住条件が揃う。(更に雪が深いと天敵の心配もほとんどなくなります)
- ・雪の下は断熱効果があり予想以上に暖かいため、餌さえ十分にあれば繁殖することが可能です。積雪下の圃場内は、ネズミにとって想像以上に良い環境だといえます。
このような被害を減らすためには、積雪前に防除を行いネズミの生息数を減らしておくとともに、積雪時の防除が有効となります。
積雪前防除
積雪前は周辺のソ穴を重点的に防除を行います。
積雪中
積雪中に防除効果を発揮するためには、ベイトボックス法が唯一の方法です。その際は、ヤソヂオン等(防水小袋入り)を使用します。
雪の下は、地表との間で融けた雪により湿度が高くなり水が溜まり易いので、防水処理された薬剤を使う必要があります。薬剤も水没してはネズミが来ないので、配置位置として窪地は避けます。また圃場の中心部よりも周辺部に重点配置します。
広域一斉防除
ハタネズミなどの場合には縄張りをもっているため、条件の良い圃場に住み着いた強いネズミは他のネズミを排除するようになります。
ところがここで圃場内だけの防除を行うと、住み着いているネズミは駆除されますが周囲に追い出されていたネズミが残っているため、すぐ新たに侵入してくるようになります。
以上のような被害形態とネズミの繁殖力を考えると、できるだけ広い範囲で同時に防除を行う「広域一斉防除」が効果的であると言えます。
防除の時期と回数
防除の時期は一般的に春期繁殖前の防除及び秋期収穫後の防除が主体であり、少なくとも、春、秋の防除は実施する必要があります。
しかし、日本の農業が稲作から麦、大豆、施設園芸、果樹等に転作しているため、作物別の防除を年4回(2~4、6~7、9~10、11~12月)実施する必要があります。
小面積の防除では、駆除しても侵入等により数週間で、ネズミの生息密度が高まりますので、周辺を含めた広域一斉防除がやはり効果的です。